流山市立おおぐろの森小学校
高台の緑の溶け込む 森の中の木の学び舎
自然豊かな大畔地区に位置する流山市立おおぐろの森小学校。私たちは、なだらかな樹木に見立て、木々の下に児童が集うような場をつくることを意図した。木を使う事は地球温暖化の防止に貢献できる。構造体として木を現わしで使ったのは、木の持つ質感や心地よさを子供たちに伝えたいとの思いからだ。また、学びに積極的に参加する公舎、学びの刺激に満ち溢れた空間にしたいと考えた。敷地内で発見された遺跡を実物展示し、校舎で使われた木材を樹種別に展示するサインも設けた。子供たちが直接手に触れ、漢字、校舎全体が学びの場となる。木の持つ力は、自然と子供たちに伝わる。
開校後、「子供たちが優しい気持ちになる」と校長先生から聞いている。児童数の急増に対するフレキシブルな校舎として、普通教室に転用可能な多目的室を合わせたユニットで構成している。今後も増加が見込まれる児童数の変動に対応できるよう、学年のゾーン内に設置された2~3つの多目的教室と小室は、習熟度別の分割授業等に柔軟に対応できる。シンプルな中廊下型の教室配置を元に、学年の進行とともに変化する普通教室と、アクティブプランニングに対応する特別教室ゾーンを両立させた。均一な平面であるが、木構造やさまざまな木質化・色が相まって多様な空間になった。有機的な甲羅状の形態の体育館は、周辺の農地への日陰抑制のための軒高さを抑えている耐火要件のない「その他建築物」とすることで燃えしろを不要にし、鉄筋コンクリート部を耐震要素とすることでスレンダーな木架構とした。圧迫感の少ない外観と広がりのある空間の体育館が実現した。
●準耐火構造でつくる木造校舎
校舎を設計するにあたり、地球温暖化対策としてのCo2固定に貢献する木材使用量について留意した。まずは、1時間準耐火構造において、可能な限り木材を現わしの建築空間を実現することを目指した。表しとして燃え代を取ることで、例えば15㎝角の柱は24cm角必要となり2.56倍の木材使用量となる。次に天井を木質化したいと考え、床板も燃え代を取り75mmの厚板LVLを採用した。外壁には準耐火のWOOD.ALCを採用した。これは校舎全体の木材使用量の3割を占め、Co2固定に貢献している。外壁に厚板集成材を使用することはCo2の固定への貢献だけではなく、外観にも木の表情を感じることのできる計画とした。(小泉治/日本設計)
●WOOD.ALC(厚板集成材)3m材4m材×120mm×450(ラミナ厚45mmの意匠性の高いソリット集成材)節のない材料だけにとらわれず節のあるもの節の少ないものをバランスよく貼り分けられている。しっかりと軒を設け木材保護塗料の性能向上配慮、外部で木材を利用する上での設計的な配慮がなされている。
●令和3年木材利用優良コンクールにおいて環境大臣賞を受賞
- 竣工
- 2021年3月
- 延床面積
- 12423.75㎡
- 構造
- 木造+一部鉄筋コンクリート造・鉄骨造
構造材 柱・登り梁軸組
構造用スギLVL
梁・方杖
構造用カラマツLVL
土台
構造用カラマツLVL
床・屋根
構造用スプルースLVL
間柱 一般製材
耐力壁・屋根 構造用合板
内装材
耐力壁 構造用スギLVL
外壁 厚板集成材 - 用途
- 小学校・児童福祉施設
- 所在地
- 千葉県流山市大畔316-1
- W.ALC使用量
- 108.432 ㎥(出荷ベース)
- 設計
- 設計・監理 株式会社日本設計
- 施工
- 松井建設株式会社